前回まで分散の技術的な効率性と独占禁止法との関りについて書きました。今回は私たちがどのような戦略の下で分散で世の中を変えようとしているかを書きます。
まず分散の方向に進むことは間違いないと思っています。理由は前に書いたもの以外にもあります。例えば集中は管理であるが機器、インフラが処理できなくなると必ず分散に向かいます。携帯電話を例に考えてみます。まず「自動車電話」と呼ばれていた時代、都内には数少ないアンテナが設置されていました。しかしその後PHSが登場しました。PHSの登場で一気にアンテナ数が増えました。このときアンテナの基地局は当時どこにでもあった公衆電話ボックスです。しかしその後通信機器の性能が向上し、一つのアンテナで数多くの携帯電話を管理できるようになりました。これが現在の状況です。しかし5Gでは状況が変わります。なんとアンテナは数百メートルおきに設置されているのです。分散と集中はこのような繰り返されます。また、5Gになると端末の通信速度が桁違いに向上するために、集中であるクラウドでは対応できなくなるといわれています。分散にシフトするタイミングだと思うのです。
私たちが考える分散は次のようなものです。すなわちすでにあるインターネット回線(国内だけで4000万回線あります)を利用し、その先(例:自宅)に小型サーバーを設置します。そしてデータはそれらのサーバーが協力し合い、本物のクラウド、すなわちどこに何があるのかがわからないが必ず自分のデータはその本物のクラウド内にあるという構成です。
具体的に書くと次のようになります。現在は重要なデータはクラウドに預けるかローカルのPC内に納めます。しかし分散の世界では全く違います。重要なデータを細かく切り刻み、各断片を暗号化します。そして一つずつの断片を本物のクラウド内のどこか複数個所に預けます。必要に応じでその断片をかき集めて元のデータに戻します。すなわち複数の分散サーバーがお互いに協力し合ってデータの機密性や安全性を確保しよう、というのが本物の分散の世界です。
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