ラパマイシンの研究はマウスで盛んにおこなわれていて、マウスの寿命が延びることはほぼ確実だと研究者たちは信じています。(例としてこの記事の最後の動画を見てください)

しかし人間でテストすることはとても難しいです。老化が病気として認識されていないので国が治験を簡単には認めないことがその理由の一つです。そして人間はそもそも寿命が長いので結果が出るまでに時間がかかるという点です。そこで研究者が思いついたのが今回紹介する「The Dog Aging Project」です。

このプロジェクトは米国ワシントン州立大学でスタートしました。ペットの大型犬にラパマイシンを週3回、1mgづつを数か月にわたり投与するというものです。この研究の中心人物Matt Kaeberleinさんは以前からラパマイシンのマウスへの投与の実験を盛んに行っていました。特定のマウスの長寿世界記録も作っています。ですから私の想像では、彼も人間に対しての治験をしたいとうずうずしているはずです。しかし人命にかかわることですから順序良く、丁寧にことを運ぶ必要があります。そこで次に対象としたのがペットの大型犬ということです。

ボランティアを募集したところ、全米から応募が殺到したそうです。というのは大型犬の場合寿命が短く(10年前後)、飼い主よりも先に死ぬ確率が大きいからでしょう。まだ最終報告書は出版されていないようですが、Kaeberleinさんのインタービュー記事によれば「犬の心肺機能が改善した」らしいです。

なお、Kaeberleinさんは前の記事で紹介したAllan S. Green医師と共同で数千人単位の高齢者にラパマイシンを投与する治験を最近始めたところです。おそらく彼らは人間にもある程度の老化を防ぐ薬としてラパマイシンを見ているのではないでしょうか。

ちなみにオートファジーを促進するラパマイシンですが、日本でも研究が行われています。特にオートファジーに関する論文は、日本が先頭を切っているそうです。(大隅博士はオートファジーの研究でノーベル賞を受賞しています)

以下の動画(英語、日本人の研究者は日本語で話している)で「状況証拠から人間の寿命を延ばせるだろう」というような話をしています。

By MN

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