子供が考えた大人げない相対性理論(2)

前回の復習です。

  • 古典力学(万有引力+ニュートン力学)では天体に落下するボールの速さは天体の半径が小さくなるとあるところで落下速度が光速を超えてしまう
  • しかし特殊相対性理論では光速を超えることはできない
  • この矛盾を古典力学と特殊相対性理論で解決するには何か手立てはないのか?
  • ちなみに落下するボールは自由落下である

という感じです。そこで以下の図を見てください。ボールはこの天体に近づくにつれて落下速度が大きくなります。そして特殊相対性理論によれば進行方向に対してボールは縮んで見えるので、この図のようになるはずです。自由落下なのでボールとしては等速で動いているときと同じ感覚なのに、です。

これを見てふと思いつくものがありました。もしかしたら天体近くのボールが縮んでみえるということはそのあたりの空間が縮んでいると考えられないだろうか、ということです。あくまでも子供のときの発想なので深くは考えないでください。突っ込みどころ満載ですが、本シリーズ(4)ではこの考えがまんざら適当でもないことを説明します。

このボールが縮んで見えるのは特殊相対性理論の効果であると上に書きました。すなわちこのボールの速さが非常に大きいので縮むということであり、このボールの周りの空間がこのボールの速さで縮むというのはちょっと違うような気もします。でもとりあえずこう考えてください。少し発想を変えると次のようになります。特殊相対性理論では相対速度が重要です。一方上の考察では速さの差を「作り出す」には加速をさせる必要があり、その加速度による(重力による)何かが速さと実質同じものを生み出すと考えられないか、という発想です。もっと正確にいうと重力が慣性系における速さの差に相当する効果を生み出す、という「仮説」です。

次回の記事「子供が考えた大人げない相対性理論(3)」で詳細を書く予定ですが、私の考えは以下の通りです。もし本来であればボールの速さによる特殊相対性理論の効果で質量が増し、長さが縮み、時間が遅れるこれらの特殊相対性理論的な効果が、この思考実験においてはボールの動きに関係なく起こるのではないか…そしてもしそうならばいろいろと都合がいい、そう思いました。

  • ボールは天体の近くに達しても光速を超えることがない。なぜならば空間が縮んでいるので遠くでこの落下を観測している私たちからすると、落下速度がどんどんと遅くなっているように見える。
  • もしかしてアインシュタインの一般相対性理論でいうところの重力による空間の縮みはこういうことかもしれない!と子供であった私には思えてきた。(心の中では一般相対性理論を知らずして何か真理に近づいた感覚)
  • 空間が縮んだことで遠くにいる私たちからはゆっくりと進んで見えるということは、天体の近く、重力がすさまじい空間では光速もゆっくりになるかもしれない!
  • 天体の近くの光速がゆっくりになるということはホイヘンスの原理により光が曲がるはず。(詳細は後述)

加速度(加速場)をその力に逆らいゆっくりと移動するだけで、速さがなかったとしてもそれに対応する仮想的な速さを獲得したのと同等の特殊相対性理論的効果がもたらせるかもしれない、という子供の大人げない考えに至ったということです。(速さを生み出すポテンシャルの差が相対論的な効果の源である、というと物理を学んだことのある人には上の説明は全部必要ないでしょう

次回は重力以外を例としてこれを定式化していきます。

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