M.Nさんはよく「自信のない人間は魅力がない」とおっしゃっていますよね。たしかに知人の顔を思い浮かべても、そんな気がします。私も自信を持てたらと思いますが、性格にも外見にも嫌いなところがあって、堂々とすることができません。自信ってどこからどうやって出てくるんですか?思い込みでOKなんですか?教えてください。
(A子 26才)
A子さんは実は普通なのです。大多数がA子さんと同じように自信がなく生きています。自信がありそうにみえる人の中の95.3%(当社比)は内心自信がなく生きています。そしてその残りだって勘違いしているに過ぎない人たちです。
すべては「自信を持って生きている人など、ほとんどいない」ということを認識することからはじまります。
私が大学院に入学した直後、インド人の学生と知り合いました。その彼はいつもノートに難しい数式を書き、かつ私に「××はもう読んだ?」とか「△△の本は実によく書けている」とかいうのです。私はその××も△△も聞いたことすらなかったのでした。この時実は一瞬後悔しました。「大学院なんかに入学するんじゃなかった。まわりは優秀な連中ばかりだ!」
私はそれまで授業でノートを取ったことがありませんでした。何故かというと先生が黒板に書くことはもっと整理された形で本に書いてあるからです。そして授業の内容もその場で理解できていたからです。しかしはじめて出席した大学院での授業では、先生が機関銃のような速さで数式を黒板に書きつづけるのです。そしてその時私は、中学以来はじめて教室でノートを取りました。それほど私はその授業にショックを受けたのです。何もわからないのですから!
しかし数週間が過ぎ、私はだんだんとまわりの状況がわかってきたのです。何がわかったかというと、そのインド人も自信がなく、もちろん物理を理解していないこと。機関銃のように数式を書く先生も本当は物理をちゃんと理解していないこともわかってきました。だから私と彼らはなんら変わらない、ということがわかったのです。
A子さん、本当に自信のある人というのは、「100%自信をもって生きている人なんかいないんだ」ということを理解している人です。
ちなみにそのインド人は今では博士号を取り、大学の教授になっています。そして今でも自分で理解していないことを理解しているかのように生徒に話をしています。機関銃のような速さで数式を書いていた先生は、頭が完全に禿げ上がり、退官後の今でも奥さんと手をつないで街を散歩しているそうです。
(M.N)